すみません。それは確約できません。過度なご期待には沿えないと思います。
まず、どの医療機関でも初診時にはできるだけ十分な時間をお取りして、診断、治療計画を立てるよう努力しております。しかし限られた時間の中でいかに必要な情報を患者さんからいただくか、がポイントです。味野医院では、おいでになる時にご用意いただくようお願いしております「過去の治療の情報」「前医師の紹介状」を利用して、正確でかつ時間短縮を考え、患者さんの思いをお話しできる時間に回したいと、考えております。と言うことは、「患者さんの医者への罹り方」が効率を決めるということです。
なぜ、効率が大切なのでしょうか?それにはまず、日本の低価格に設定された診療報酬(健康保険を使って行う医療費は国が決めています)のおかげに加えて、国民皆が社会健康保険か国民健康保険に入ることに定められているおかげで、我が国の国民は諸外国に比べて大変安価な自己負担金で、貧富の差なく受診しやすい環境にある、ということをご理解下さい。この「貧富の差無く医療を受けやすい環境」のおかげで日本の医師は多くの患者さんを診察せねばならないということにもなります。(国の定めた健康保険制度のないアメリカの医師の4倍の患者さんの診療を、日本の医師はしております。なんとスウェーデンの医師の10倍の診療をしております。そのような国では数少ない金持ちだけがたっぷりと時間をかけて診療を受け、その分たっぷりと自己負担金を支払っているのです。)日本の国民皆保険制度と安価な保険診療報酬は国民にとってだれでも安価に医療を受けられる大変すばらしい制度と言えます。ですから、語弊はあるかも知れませんが、高級寿司店とは違う、回転寿司店のような制度であることを理解していただき、少しでも多くの人が安価で少しでも良い医療が受けられるよう、患者も医師も努力・協力し合わねば成立しない制度であることをご理解ください。
貴方のように「前医が十分に時間をかけてくれなかった、長く待たされる、自分をもっとゆっくり診療してほしい。」というご不満を伺うたびに、当院のこともそう思われている方がいるだろうな、と反省材料には致します。が、日本の医療現場では毎日どこも時間に追われていることをご承知下さって、転々と「病院めぐり(ドクターショッピング)」をなさらないことをお願いしたいと思っております。病院めぐりで初診時にかかる時間と検査・診察費用をお考えください。
とは申せ、患者-医師関係は「相性」も大切です。特に精神科・心療内科の治療には、双方の心と心がぶつかり合い、絡み合い、理解し合い、信頼し合う関係に成長していかなければならないものです。とてもお付き合いできない残念な関係に陥っている場合は、転医もやむをえません。それでも、その医師の診療情報はかけがえのないものですから、是非とも紹介状をいただいて下さいね。